アウトドアビジネス特化公認会計士が気象予報士になり やりたい3つのこと

私、2022年8月21日実施の第58回気象予報士試験に合格しました。

前回の記事「アウトドアビジネス特化公認会計士が気象予報士になったワケ」では、「気象予報士をなぜ志したか」「気象リスクに向き合った原点」についてお伝えしました。

今回は、気象予報士資格を取得して、どんなことをしていきたいか、見すえる今後の展望について書きます。

 

1.アウトドアビジネスの気象リスク

 

アウトドアビジネスは気候、天候、天気の影響を受けます。

キャンプ場やゴルフ場では、週末の稼ぎ時に雨が降ると予約のキャンセルが相次ぎ、売上が大きく減少してしまいます。

スキー場に関しては、暖冬による小雪のシーズンにおいては営業日数が大きく減少します。
逆に豪雪に見舞われた場合はスキー場へのアクセスが絶たれてやはり売上が大きく減少することもあります。

近年は地球温暖化の進行等の影響により異常気象の頻度が高まっていると言われています。
梅雨の長期化、集中豪雨、猛暑、冷夏、暖冬、小雪等が発生することにより、アウトドアレジャーの機会の減少につながるリスクがより増大していると言えます。

さらには、台風、地震、洪水といった大規模自然災害が発生した場合には、一時的な影響にとどまらず、アウトドアレジャーを楽しむ場所そのものが失われてしまう可能性さえもあります。

アウトドアビジネスにとって大きなリスクの1つである気象リスク。

気象予報士という専門家として、気象リスクを正しく認識し、最善の対応を提案できるプロフェッショナルになりたいと考えます。

気象予報士の役割の一つとして、防災が挙げられます。

気象状況の悪化の可能性がある場合においては、防災の観点からは、アウトドアレジャーを控えるべきと考えるべきかもしれません。

しかしながら、アウトドアレジャーの事業者としては、悪天候により売上が落ち込むことは大きな痛手です。
気象状況の悪化の可能性がある場合においても、できれば営業したいと考える場面もあるかもしれません。

防災も重要だけど、ビジネスの追求もしたい。

そのような相反する狭間でどのような提案や判断ができるか。
気象の専門家であり、かつビジネスにも通じている自分が価値を発揮できる場面の一つではないかと考えています。

2.アウトドアビジネスのマーケティング

気象は、アウトドアレジャーにとって、リスクだけではないと考えています。

アウトドアレジャーは天候次第で満足度が大きく変わります。
例えばスノーボードで最高なのは、前日に降雪があり、新雪パウダー、当日は晴天で景色最高の日です。

逆に最悪なのは、猛吹雪で視界ゼロの日です。
景色なんて楽しめない。くそ寒い。視界悪く危険。

前者は満足度MAX。ユーザーはまた来たいと思うでしょう。
後者は不満足度MAX。もう来たくないと思うかもしれません。

天候とは人間がコントロールできるものではありません。
好天候の日も悪天候の日もあるのは当然の話です。

一方で、ユーザー目線、ビジネス目線からすると、満足度が大きく異なれば、消費行動に大きく影響するのです。

悪天候によりユーザーの満足度が下がり、その結果、アウトドアレジャーの参加率が低下するかもしれません。
アウトドアビジネスに影響する可能性があります。

天候により満足度が大きく変わる一方で、アウトドアレジャーの価格はどうでしょうか。
天候が良くて満足度が高くても、天候が悪くて満足度が低くても、設定価格は同じですね。

消費者として考えると、満足度が高ければ高い価格を払ってもいいと感じますし、満足度が低ければお金を払いたくないと感じるのではないでしょうか。

「当日の天候に応じて利用料金を上下させるのはどうだろうか?」
スキー場運営会社のCFO(財務責任者)を務めていた時に、マーケティング責任者と意見交換したことを思い出します。

その時には、結論、「難しいね」という話でした。

しかしながらこれ、仮に正確な気象予測ができれば、実現可能なのでは?と考えます。

「山の天気は簡単じゃないんだぞ」と気象予報士の先輩方に叱られるのかもしれませんが。

気象の専門家となることで、気象リスクへの対応に強くなる。
それに加えて、気象と消費者の満足度を関連させてマーケティングにつなげることもできるのではないか。
そこをやっていきたいと考えています。

アウトドアビジネスに強い身として、追求していきたい。

「アウトドア」に詳しい気象予報士はこれまでたくさんいらっしゃると思います。
一方「アウトドアビジネス」に詳しい存在は、多くはないのではないかと想像しています。

3.気象業界に新たな風を

せっかくご縁を頂き気象予報士を取得しましたので、自分の強みを発揮して気象予報士業界で何か新しいことができたらいいな、と漠然と考えています。

気象予報士に対するアンケートによると、資格保有者(約11,000人)のうち、気象に関する業務に携わっているは約2割とのことです。
約1割が気象予報業務やキャスター等、
約1割が関連する業界・業務で気象予報士資格を活かす仕事(航空・鉄道・etc)、
残りの約8割は資格を使っていないそうです。

気象予報士は”食えない資格”とも言われることがあります。

資格保有者の2割しか業界に従事していないことについて、「その状況が業界にとって健全なんだよ」と仰るご意見も目にしたことがあります。

でも私は懐疑的です。

実際、気象予報士が資格を活かして活躍しきれていないのではないかと感じます。

もともと気象予報士という資格は、かつては気象庁しか行うことが認められていなかった「気象を予想し発表する」ことを、気象庁以外の者でも行うことを許可したものです。

「気象の予想・発表」は、気象庁が現在も行っています。
従前より気象庁が行っている「気象の予想・発表」を、気象庁以外に行うことができる存在として創設した気象予報士。
この資格にどのような価値があるかを考えなくてはならないと感じるのです。

もしかしたら「気象の予想・発表」のスキルをもっているだけでは、食えないのかもしれません。
気象予報士として活躍されている諸先輩方は、「気象の予想・発表」のスキル以外に、活躍するための強みや武器をもっていると考えています。

公認会計士として、数字に強く、ビジネスに強く、会社経営に強い、という自分。
「公認会計士×気象予報士」としてのロールモデルを示せればいいな。
とおこがましいかもしれませんが考えています。

気象業界に関わっていない8割の方々に対し、「気象予報士」×「何か」という観点で気象予報士の資格を活かせることがあるかもしれない、という話をしたい。

「公認会計士」と「気象予報士」。
一見全く畑違いに見える2つの「難関」と言われる国家資格。
私の場合は「アウトドア」という軸により両者が密接に結びついてしまったのですが。

ひょんなきっかけで両者を結びつけた私が、「公認会計士」業界と「気象予報士」業界の架け橋として少しでも活動できればうれしいです。
かなり大風呂敷を広げてしまいましたが。

そのためには、まず、
気象予報のスキルを上達させる、
気象業界の仕組みを知る、
気象情報や業界を、アウトドアビジネス界及びその他のビジネス界に活かすことができるかを模索したい、
と考えています。

4.まとめ

やりたいこと①
アウトドアビジネスの気象リスクに対応
防災も重要だけど、ビジネスの追求もしたい

やりたいこと②
気象と消費者の満足度を関連させてマーケティングにつなげる可能性

やりたいこと③
「公認会計士×気象予報士」新しいビジネスの可能性
「公認会計士」業界と「気象予報士」業界の架け橋

「おもしろそう」と思ってくださったアウトドア業界・公認会計士業界・気象業界・その他の皆様、ぜひ一緒に活動しましょう。

 

そとCFO公認会計士 村瀬功

そとCFO公認会計士 村瀬功

日本で唯一のアウトドアビジネスに特化した社外CFO

1980年富山県生まれ、広島県育ち。東京大学経済学部卒。公認会計士・気象予報士。経営革新等支援機関。
社内にCFOが居ない中小・ベンチャー企業に対して社外の立場からCFO機能を担う、日本で唯一のアウトドアビジネス専門の社外CFO。
「豊かな自然の中での非日常体験は人生を豊かにする」と価値を信じ、アウトドアビジネスの健全な発展に寄与することが自らの使命と感じている。

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