1.合格率5%の気象予報士試験に合格
私、2022年8月21日実施の第58回気象予報士試験に合格しました。
気象予報士といえば、毎日テレビの天気予報で解説をしている気象キャスターがお馴染みでしょうか。
気象キャスター以外にも様々な分野で活躍の場を広げる気象のプロフェッショナル、それが気象予報士です。
近年は異常気象が頻発し、大雨や台風の被害も深刻さを増す中で、気象のプロとしての気象予報士に対する期待や注目が高まっていると言えます。
そんな気象予報士を、公認会計士である私がなぜ志したか。
気象予報士試験は毎回合格率が約5%前後で推移しています。
数字上は、合格するのが難しい資格といえるかもしれません。
8か月間585時間勉強して、運よく一発合格できました。
時間と労力をかけて挑んだ資格。
「なぜ合格できたか」と聞かれたら、
「モチベーションを高くもっていた」ことを大きな要因の一つに挙げたいです。
気象予報士資格に対して、私はどのようなモチベーションを持っていたのか。
2.アウトドアビジネスにおける気象リスク
私は公認会計士として独立開業し、中小・ベンチャー企業の経営・財務のコンサルティングをしています。
社内にCFO(財務責任者)が居ない会社に対して社外の立場からCFOの機能を担う、社外CFOとしてご支援しています。
アウトドアビジネス企業に特化して支援しているのが特徴です。
アウトドアビジネスに特化している理由。
それは、私がキャリアの中でスキー場運営会社CFOやキャンプ場運営会社CFOを務めた経験があることが1つです。
加えて、私は「豊かな自然の中での非日常体験が人生を豊かにする」と考えています。
日本のアウトドアレジャーを元気にしたい、という思いがあるためです。
アウトドアレジャー業界は気象の影響を大きく受けます。
キャンプ場ビジネスにおいては、雨が降ればキャンセルが相次ぎます。
夏休みやシルバーウィークに台風が来てしまうと繁忙期の売上に大打撃です。
スキー場ビジネスにおいては、雪が降らなければスキー場がオープンできません。
売上がゼロです。
ただでさえスキー場の営業は年間で3ヶ月ほどの短い期間です。
暖冬・小雪のシーズンは、その短い稼ぎ時がさらに短くなってしまうのです。
これまでのビジネス人生において、スキー場運営会社のCFOとして、キャンプ場運営会社のCFOとして、気象リスクに向き合ってきました。
スキー場運営において、暖冬で雪が降らない。
キャンプ場運営において、雨に降られ、台風が直撃。
アウトドアビジネスを運営する上で大きなリスクとなる気象リスク。
気象リスクに直面し対応していく中で、気象の専門的知識と予報の技術を備えることは、アウトドアビジネスの経営にとって役に立つことが多いのではないか、と考えるようになりました。
そして様々な気象リスクに対応するために、気象予報士資格を取り気象の専門家となろうと考えました。
また、私は趣味としてもアウトドアレジャー愛好家です。
キャンプや登山、スノーボードを楽しむ際にも、気象の専門知識が活かせる、ということもまた、気象予報士を目指した動機の1つです。
3.気象リスクに向き合った原点
私がビジネスの中で気象を強く意識した出来事があります。
スキー場運営会社のCFOを務めていた当時のことです。
私は、グループすべての運営スキー場の損益管理を行う財務責任者の立場でした。
経営会議においては、各スキー場の損益報告が行われます。
売上・損益の予算比進捗状況や今後の対策について報告があります。
その年は全国的に暖冬・小雪のシーズン。
多くのスキー場で営業日数の縮小が余儀なくされていました。
そのようなシーズンにおいて、各スキー場の責任者からの損益報告はどのようなものだったか。
それは、
「予算比下振れました。理由は雪が降らなかったからです。」
です。
ほぼすべてのスキー場がこれです。
極端に言うと、話せることはこれがすべてだった、とも言えるかもしれません。
スキー場の営業のために何か月もかけて様々な準備をしたとしても、雪が降らなければ営業できない。
売上が上がらない。
スキー場運営ビジネスのつらい現状をまざまざと見せつけられた経験でした。
私は財務の専門家として資金を調達するために動いていました。
しかしながら、スキー場にとって資金を獲得するために最も重要なことは「雪が降ること」なのではないか、とすら感じました。
私が気象予報士になったところで、スキー場に雪を降らせることはできません。
しかし気象リスクの専門家としてスキー場の役に立てることは多いのではないかと考えています。
以上、なぜ私が気象予報士を志したかをお伝えしました。
次回は、気象予報士資格を取ってみすえる今後の展望についてお話しします。