アウトドアビジネス上場企業の業績を業種別分析

前回の記事「アウトドアビジネス上場企業25社の財務情報まとめ」では、25社の財務情報の概要をまとめてお伝えしました。

今回の記事では、前回紹介した会社を対象に、
企業規模の比較
業種(アウトドア全般/キャンプ/釣り/自転車/ゴルフ/スキー・スノーボード)ごとの業績の推移
について、詳細に分析します。

【この記事を読んでわかること】

・アウトドアビジネス上場企業各社の企業規模は?売上高は?時価総額は?
・アウトドアビジネス上場企業の業種ごとの業績推移は?
アウトドアビジネス全般/キャンプ/釣り/自転車/ゴルフ/スキー・スノーボード
各業種ごとの市場動向と各社の業績の関係は?

(1)アウトドアビジネス上場企業25社のまとめ

【図表】アウトドアビジネス上場企業の業種別業態別売上高

業種別・業態別の売上高の一覧は上記の通りです。
会社名に付されている番号は、各社の紹介をした前回記事において付した通し番号と整合させています。
1社の中で複数の業種を展開している会社においては、開示されているセグメント情報等から、業種別売上高の内訳を引用しています。

(2)売上高/時価総額を比較

【図表】売上高/時価総額

会社の規模感を比較するために売上高と時価総額一覧にしました。

これを点でプロットすると以下の通りです。

【グラフ】売上高/時価総額(全体)

①東急不動産HD・西武HD

両社は不動産事業や都市交通事業を大規模に行っているため、売上高は3,000億円を超える規模となっており、時価総額は4,000億円を超えています。

②シマノ

時価総額約3兆円の規模です。日本の上場企業の時価総額ランキングでも50~60位くらいに位置する、日本を代表する大企業です。

【グラフ】売上高/時価総額(抜粋)

③アルペン・ゼビオHD

両社の売上高は約2,000億円の水準であり、近似する水準となっています。一方時価総額はアルペンが約1,000億円、ゼビオHDが400億円であり、2倍近く差があります。

④ワークマン

売上高が1,000億円前後の会社が5社ありますが、その中で時価総額を比較するとワークマンが最も大きな水準となっています(約5,000億円)。
ワークマンは2019年初に時価総額約1,500億円から2020年初には約8,000億円と、1年間で約5.5倍増加するなど、急激な成長を記録しましたが、直近2021年では時価総額が減少傾向にあります。

⑤デサント・ゴールドウィン

両社は売上高が約1,000億円、時価総額が約3,500億円程度であり、近似する規模となっています。

⑥スノーピーク

売上高約160億円、時価総額約1,600億円であり、売上高の規模に比較して時価総額が大きな会社であると言えます。
同社の時価総額は2021年初は約350億円でしたが、1年弱で約4.5倍の成長を遂げています。

(3)業種別の売上高推移

業種別に売上高の推移を分析します。

複数の業種を展開している企業については、有価証券報告書におけるセグメント情報より業種別の売上が公開されていますので、会社全体の売上高ではなく、業種ごとの売上高をピックアップして比較しています。

あわせて各業種の市場規模の推移のデータについても、レジャー白書2021より引用して記載しています。

①アウトドア全般

【図表】売上高の推移(アウトドア全般)

【グラフ】売上高の推移(アウトドア全般)

近年のアウトドアブームを追い風に、アウトドア全般を扱うメーカーや小売業の多くは売上を伸ばしています。
直近期においては新型コロナウィルスの影響を受けて売上高を減少させた企業や伸びが緩やかになった企業が多くありました。

なお、株式会社デサント(ウェアメーカー)については、直近2期間において連続して売上高を減少させていますが、これは同社の売上高の半分近くを韓国での売上を占めており、2019年7月より韓国における日本製品不買運動が広がったことにより韓国での売上高が大きく減少しているためであります。

②キャンプ

【図表】売上高の推移(キャンプ)

【グラフ】売上高の推移(キャンプ)

株式会社スノーピークの売上高は大きな増加を継続しています。
登山・キャンプ用品市場は成長を継続していますが(直近2020年は新型コロナの影響で減少)、市場の成長を上回るスピードで同社の売上高は伸びています。

③釣り

【図表】売上高の推移(釣り)

【グラフ】売上高の推移(釣り)

各社、新型コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言発令により一時的に売上高に影響が生じたものの、3密を避けるレジャーとしてコロナ禍の時代にマッチしたレジャーとして釣りの支持が広がったことにより売上高を伸ばしています。

④自転車

【図表】売上高の推移(自転車)

【グラフ】売上高の推移(自転車)

自転車もまた3密を避けるレジャーであり、コロナ禍において運動不足の解消を目的とした健康志向の高まりもあり、需要が高まりました。2020年はスポーツ自転車市場規模が拡大するとともに、自転車部品メーカーの株式会社シマノ、及び自転車小売の株式会社あさひ、ともに売上高を伸ばしています。

⑤ゴルフ(メーカー)

【表】売上高の推移(ゴルフメーカー)

【グラフ】売上高の推移(ゴルフメーカー)

ゴルフ業界は、企業数が多いため業態ごとに分けて分析します。
まずはメーカーです。

ゴルフ用品市場規模については、近年少しずつ成長を続けていましたが、2020年は新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、市場が縮小しています。
各社においても売上高に影響を受けていますが、グローブライド株式会社(ゴルフクラブ)や株式会社遠藤製作所(ゴルフクラブヘッド)、株式会社グラファイトデザイン(ゴルフクラブシャフト)の各社については、直近期のゴルフ事業は前期比増収となっています。

株式会社デサント(ゴルフウェアメーカー)の直近2期間売上高減少については、先述のとおり、2019年7月より韓国で始まった日本製品不買運動による影響と考えられます。

⑥ゴルフ(小売)

【図表】売上高の推移(ゴルフ小売)

【グラフ】売上高の推移(ゴルフ小売)

先述のゴルフメーカー同様、ゴルフ小売についても、直近期で増収となっている会社が多いです。

株式会社ヒマラヤについては前期比△12%の減収となっていますが、一方で株式会社アルペンは前期比+18%の増収、ゼビオホールディングス株式会社も前期比微増となっています。

株式会社ゴルフダイジェスト・オンラインについては、売上高の数字は会社全体の数字であり、「ゴルフ用品販売」「ゴルフ場予約」「ゴルフレッスン」を含んでいます。
同社の直近期は前年比△約7%の減少となっていますが、その内訳は、ゴルフ用品販売+3%、ゴルフ場予約△7%、ゴルフレッスン△9%となっています。

⑦ゴルフ(施設運営・その他)

【図表】売上高の推移(ゴルフ施設運営・その他)

【グラフ】売上高の推移(ゴルフ施設運営・その他)

ゴルフ場市場規模については、近年ほぼ横ばいを続けていましたが、2020年は新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、市場が縮小しています。

株式平和のゴルフ事業については、業績は堅調に推移し運営施設数も増加していましたが、直近2021年3月期は新型コロナウィルス感染拡大により減収減益となっています。

【図表】株式会社平和(ゴルフ事業)の業績推移

リソルホールディングス株式会社のゴルフ事業については、近年売上高が減少傾向にありました(一部は会計処理の変更による影響も含む)が、直近2021年3月期はさらに大きく減収減益となりました。

【図表】リソルホールディングス株式会社(ゴルフ事業)の業績推移

株式会社バリューゴルフについては、直近2021年1月期に大きく売上高を落としていますが、これはゴルフツアーの企画販売を行うトラベル事業の売上高が大きく減少したことによります。
一方、予約サービスやレッスンサービスは、直近2021年1月を含め継続して売上・利益を伸ばしています。

【図表】株式会社バリューゴルフ(ゴルフ事業)の業績推移

⑧スキー・スノーボード

【表】売上高の推移(スキー・スノーボード)

【グラフ】売上高の推移(スキー・スノーボード)

スキー・スノーボード業界の市場は縮小傾向が継続しています。

「スキー・スケート・スノーボード用品市場」
「スキー場市場」
「スキー参加人口」
「スノーボード参加人口」
それぞれの数値が継続して下降しています。

一時のブーム時から比較して参加人口の減少が続いていることに加え、近年はたびたび暖冬・小雪に見舞われスキー・スノーボードを楽しむ機会が減少しているといえます。
これに加えて直近は新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、さらに市場に影響を与えています。

このような市場の影響を大きく受け、スキー・スノーボード関連企業の業績につていも、多くの企業について下降傾向にあります。

(4)まとめ

【アウトドアビジネス全般】近年のアウトドアブームを追い風に、アウトドア全般を扱うメーカーや小売業の多くは売上を伸ばす
【キャンプ】登山・キャンプ用品市場は成長を継続、スノーピークは市場の成長を上回るスピードで同社の売上高は伸ばす
【釣り】3密を避けるレジャーとしてコロナ禍の時代にマッチしたレジャーとして釣りの支持が広がったことにより各社売上高を伸ばす
【自転車】3密を避ける&コロナ禍において運動不足の解消を目的とした健康志向の高まりもあり、スポーツ自転車市場規模が拡大、各社売上高を伸ばす
【ゴルフ】市場規模は近年ほぼ横ばい、2020年は新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け一時的に縮小も、3密を避けるレジャーとして復活の兆しも
【スキー・スノーボード】市場が継続して縮小傾向、参加人口の減少、暖冬・小雪、直近は新型コロナウィルス感染拡大の影響

 

そとCFO公認会計士 村瀬功

そとCFO公認会計士 村瀬功

日本で唯一のアウトドアビジネスに特化した社外CFO

1980年富山県生まれ、広島県育ち。東京大学経済学部卒。公認会計士・認定事業再生士。
社内にCFOが居ない中小・ベンチャー企業に対して社外の立場からCFO機能を担う、日本で唯一のアウトドアビジネス専門の社外CFO。
「豊かな自然の中での非日常体験は人生を豊かにする」と価値を信じ、アウトドアビジネスの健全な発展に寄与することが自らの使命と感じている。

関連キーワード

関連記事

RELATED POST

この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP
MENU
お問い合わせ